システム開発を外注する場合は見積もりを正しくとる力が重要です。
しかし、初めて外注する場合、その見積り額が適正なのかどうかわからないことが多いでしょう。
この記事では見積もりを正しくとれずに失敗した例やそれを避けるための9つの項目を紹介します。
また、見積もりを算出する方法もお伝えします。
システム開発を外注しようと考えているけど見積もりが上手くとれる自信がない担当者様は必見です。
ぜひご参考ください。
目次
システム開発では見積もりを正しくとる力は重要
ほとんどの会社では初めてシステム開発を行います。
一方でシステム開発会社は持っている情報に優位性があるため、見積もりに関しては大きなアドバンテージを持っているのも事実です。
そのため、正しく見積もりをとることができなければ高額な請求を受けても気づかない、見積もりを出してもらって桁が1つ多いといったこともあり得ます。
それだけシステム開発会社は情報量で有利なのです。
逆に安すぎる場合でもそれが適正な価格かはわからないため後からトラブルになることもあります。
そのため、見積もりを正しくとる力はとても重要になるのです。
正しく見積もりをとらないと、予算が大幅に超過するケースも
見積もり時点で要件が定まっていない
開発費の中には予備費なども含まれていることが多いですが、それすらも超えて予算が膨れ上がってしまうケースはよくあります。
その理由としては見積もり時点で内容が曖昧なため、いざプロジェクトの内容が明確化した際に乖離が広がっていくからです。
システム開発を外注する際はどんなものを作って欲しいのか明確化し言語化しなければ正しい見積もりをとることができず、適正価格かどうかも判断が難しくなります。
追加費用を請求されトラブルになった
見積もりが正しいかどうか判断できないことで、追加費用が発生しトラブルになるケースはよくあります。
先程もお伝えした通りシステム開発が初めての場合、システム開発会社が有利な状況になります。
相手がわからないことを良いことに見積もり高く設定し、後から人員確保が必要になったやスケジュールの組み直しなどで追加費用を請求する会社もあります。
一括請負であれば受注側がいくら増員しても発注者側に追加費用の心配はないため、システム開発会社と契約する際は契約形態も確認する必要があります。
見積もりの根拠知るために9つの項目を理解する
要件定義費(要件を具体化する費用)
要件定義費用とは実装すべき機能を決定したり必要な機能や不要な機能を洗い出したりするなど「開発するシステムにどんな機能を実装するべきかを決めるための費用」になります。
基本的には作業にかかった時間で計算しPM(プロジェクトマネージャー)と呼ばれる社員が担当することが多く、相場は60万〜100万前後です。
また実装する機能が明確化されていない、複雑の場合は時間がかかるため費用も増えていきます。
システムの設計費(要件を実現するシステムを考案する費用)
システムの設計費とは「サーバーなどのインフラ設計やアプリの設計などにかかる費用」です。
運用例としては「インフラ設備の設計」や「必要なアプリの設計」があります。
こちらも実装する機能が多い、複雑など時間がかかるほど費用は高くなっていきます。
デザイン費(UI設計を含むデザイン制作費用)
デザイン費とは「開発するシステムのデザインを製作するために必要な費用」です。
入力フォームや管理画面を始めとしてモバイル端末対応のUIやレイアウトなどが挙げられます。
本来、デザイン費用は他の項目に含まれて請求されることが多いですが、発注者側がデザインに強いこだわりを持っている、変わったデザインを求める場合は多くの費用が発生する可能性があります。
開発費用(エンジニアの人件費)
開発費用とはエンジニアの人件費です。
費用の計算方法として人月単位が一般的です。
人月単位とは「1つの工程を終えるために1人のスタッフが必要とする月数」です。
例えば「2人月」の場合は「1人のスタッフが3ヶ月の作業時間が必要」となります。
エンジニア単価が70万だと2人月のプロジェクトに関わると140万の費用が必要になるのです。
スケジュールの進行管理費(進行管理にかかる人件費)
スケジュールの進行管理費とは「システム開発を滞りなく進むための作業工程の調整にかかる費用」です。
システム開発はプロジェクトの大きさによって期間が大きく異なります。
小規模なものであれば1~2ヶ月程度ですが、大規模なものだと半年〜1年とかかります。
期間が長いほどスケジュール管理が難しくなるため、その分費用が増えていく可能性が高いです。
テスト費用(完成したシステムをテストする費用)
テスト費用とは「完成したシステムにどのようなテストを行うのかの費用」です。
システム開発は作れば終わりではなく、それがしっかりと動作するのかバグはないか確認しなければなりません。
また、テストと言っても以下の項目があります。
- 工程ごとにテストする単体機能テスト
- 複数のプログラムを組み合わせて動作確認をする結合テスト
- プログラムの変更に伴い予想外の動きをしていないかを確認するレグレッションテスト
どんなシステムも不具合を完全に防ぐことは難しいですが運用開始までに入念なテストを行い質の高いシステムを完成させることができます。
導入費用(システムの初期設定など)
導入費用とは「システム開発を行う上で必要な設備を購入する費用」です。
開発するシステムは発注者側で異なり、それに応じて使うサービスやツールによって費用が変化します。
どんなサービスやツールを使うかは事前によく相談をする必要がありますが、ツールやサービスにこだわりがある場合はその分導入費用も高くなる可能性があります。
サーバーやソフトウェアの費用(開発に必要なその他の費用)
システム開発にはサーバーやソフトウェアが必要になります。
特にサーバーはインフラ部分になり、サーバーのスペックによって費用は大きく異なります。
またオンプレミスにするのか、クラウドサーバーを利用するかによっても初期費用・月額費用は変わっていきます。
近年ではクラウドサーバーが主流になってきましたが、まだまだオンプレミスを活用している会社もあります。
ソフトウェアもシステム開発時にどれだけ必要になるかによって費用は変わるため事前に確認しておくと良いでしょう。
交通費(打ち合わせなどにかかる費用)
交通費は発注先とシステム開発会社が打ち合わせをする際にかかる費用のことです。
遠方で宿泊する場合はその分の費用を請求されることもあります。
ただし、近年ではオンライン会議が主流となっているため、事前にどのように打ち合わせをするか決めておくことで費用を抑えることができるかもしれません。
見積もりを算出するための3つの方法
システム開発は様々な方法で見積もりを出します。
そのため、見積もり手法によっては想定する最終的な金額とズレる可能性があるので、こういった見積もりの仕組みを理解しておくことも重要です。
類推見積もり(過去の似た事例から算出する方法)
類推見積もりはシステム開発のコストや工数を見積る手法の1つです。
過去に同じような案件を参考にし、事例がない場合は経験や知識を基に見積もっていきます。
過去の案件を参考にしているため、工数やコストは比較的正確に出せる反面プロジェクトごとの事情などは反映されません。
また、見積もりの精度は担当者の経験や知識によって異なるため信頼性にかけてしまうのがデメリットになります。
パラメトリック見積り(過去のデータを基類推見積もりに数値化し算出する方法)
パラメトリック見積もりとは過去のデータをパラメーター化してプロジェクトの所要期間を見積もる手法の一つで係数見積もりとも呼ばれています。
経験則ではなく機械的に点数化し数字にするため担当者の知識によって見積もりが左右される心配はありません。
ただし、過去のデータをパラメーター化していくため、柔軟な対応がしにくく見積もりの精度が下がるデメリットがあります。
ボトムアップ見積もり(1つ1つの工数から算出する方法)
ボトムアップ見積もりとは開発するシステムを想定して1つ1つの工数を洗い出し算出する手法の一つです。
1つ1つの工数を踏まえて見積もりを計算するため漏れがないため精度の高い見積もりができ、小規模なプロジェクトには向いています。
その反面、大規模プロジェクトには不向きです。
その理由としては大きな規模のシステムはカンセまでの工数が想定しにくいからです。
ボトムアップでは1つ1つの工数を算出するのが難しく大規模なプロジェクトには向いていません。
プライスツーウィン法(予算に合わせた見積もりを算出する方法)
プライスツーウィン法とは予め決まっている予算に合わせて見積もりを算出する方法です。
この方法であれば予算が限られていても超過する心配がありません。
ただし、予算ありきとなるため、欲しい機能が実装されず必要最低限のものしか搭載されない可能性があります。
パッケージ開発なら見積もりを確認しやすい
パッケージ開発であれば特定の業務に必要なアプリケーションやソフトウェアが標準化されている機能を導入していくため見積もりの項目が少なく確認しやすいです。
また、導入もGUIでできるものも多いため人員を最低限にして少ない工数で開発ができるためコストを抑えることが可能です。
会社によってはパッケージ内の機能であれば追加費用が発生しないためビジネスの成長とともにシステムを強化することもできます。
まとめ
システム開発の見積もりについて紹介しました。
見積書を正しくとることができないと追加費用などのトラブルに発展する可能性がありますので今回紹介した9つ項目と見積もりの算出方法は理解しておく良いでしょう。
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またビジネスの成長に合わせて機能の追加は不要です。
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