システム開発の方法は多様化しており、近年の日本では自社内で開発を行わない受託開発という方法が主流になっています。
しかし、具体的に受託開発はどのような開発方法で、そのような流れで行われるのかを理解していない人が多いのではないでしょうか。
本記事では、受託開発の流れや混同されがちなSESとの違いやそれぞれのメリットとデメリットについて解説します。
また、受託開発を依頼するときの注意点についても解説しているので、是非最後までご覧ください。
目次
受託開発とは?
受託開発とは?
受託開発とは、企業が求めているシステムやソフトウェアの開発を外部のシステム開発会社に委託する開発の方法です。
受託開発の契約の結び方は基本的に受託契約で、近年、日本の中ではシステム開発の方法の中でも主流になっています。
システム開発会社は企業の要望に合わせたオーダーメイドの開発を行うため、導入する目的や機能に沿った質の高いシステムやソフトウェアを開発することができる点が大きな特徴です。
また、自社開発の場合は社内でエンジニアや技術を保有する必要がありますが、受託開発の場合はその必要がありません。
SESとの違い・働き方
受託開発と似たSES(System Engineering Service)という開発の方法がありますが、この二つの違いを説明できる人は少ないのではないでしょうか。
双方とも外部の企業のエンジニアに開発を委託するということは共通していますが、委託先のエンジニアの働き方が異なります。
まず、受託契約は依頼を受けた企業のエンジニアは自社内でシステム開発を行います。
依頼を受けた企業のエンジニアは自社内で開発を行い、開発が完了したら成果物を納品します。
その一方でSESは依頼を受けた企業のエンジニアが発注先の会社に常駐して開発業務を行います。
このように、エンジニアが開発を行う場所が異なるのです。
受託契約とSES契約の違い
双方の契約で大きく異なるのは、発注者側が報酬を支払う対象です。
まず、受託契約は外部の企業に開発を依頼し、納品された成果物に対して報酬を支払います。
本記事で解説している受託開発の報酬の支払い方もこちらの方法です。
一方で、SES契約は開発を依頼した企業のエンジニアの人数や労働力、業務期間に対して報酬を支払うため、SES契約を締結したエンジニアには成果物を完成させる義務がありません。
受託開発の流れ
受託開発を行う際には会社間でやりとりをする必要があります。
会社間でどのようにやりとりをして受託開発をすることが決定し、どのような工程で開発が行われるのか、イメージが湧きづらいのではないでしょうか。
そこで、具体的な受託開発の流れを工程ごとに紹介します。
提案の依頼
まず、受託開発はシステムやソフトウェアの発注者が外部のシステム開発会社に開発を依頼するところから始まります。
そのために発注者側は希望する要件をまとめた提案依頼書を作成して企業に提案依頼を行います。
ヒアリングと提案書や見積書の提示
次に行動を起こすのは依頼を受けた受注者側です。
受注側は提案依頼書の内容を確認し、発注者側の要望やニーズをヒアリングします。
そして、そのヒアリングをもとに受注者は提案書や見積書を作成します。
その際に社内で稼働させるエンジニアの人数や予算相場の見積もりを立てます。
予算の検討
次に、予算の検討を行います。
予算が書かれた見積書をもとに発注者側と受注者側が話し合い、予算をすり合わせます。
受注者側が予算を提示して予算が決定するのではなく、両者がきちんと話し合うことが重要です。
システム開発の契約締結
システム開発を外部に委託する際には、基本的に複数のシステム開発会社に提案依頼書を提出し、提案書や予算の書かれた見積書をもとに比較をします。
その中で自社の希望する要件や予算を満たす一つの企業を選択し、発注するシステム開発会社を決定するのです。
システム開発
契約を結んだら、受注側はシステム開発を進めます。
事前にすり合わせた予算や開発期間をオーバーしないように、綿密な計画を立てて開発を行うことが重要です。
納品・検収
依頼されていたシステムの開発が完了したら、発注者に成果物を納品します。
そして、受け入れのテストを行うのは発注者側です。
受け入れテストが無事終了し、依頼した要望通りのシステムになっていたら正式に納品することを決定します。
そして、正式に納品することが決定したら、発注者側はシステム開発会社に成果物に対する報酬を支払います。
受託開発とSESのメリットを比較
先程受託開発とSESの違いを説明しました。
次に受託開発とSES双方の具体的なメリットを紹介します。
開発を検討している際は自社の状況や希望に合わせて開発の方法を選択しましょう。
受託開発のメリット
質の高い成果物が期待できる
受注したシステム開発会社のエンジニアは、自社に持ち帰ってシステム開発を行います。
そのため、エンジニアはSESよりもいつも通りの本領を発揮しやすい環境で開発を行うことができます。
そのため、エンジニアが自社内の他の社員の助けを借りることもできるので、SESよりも開発の質が高くなる可能性があるのです。
納期を意識した計画を立ててもらえやすい
受託開発の場合はエンジニアの労働に対してではなく納品された成果物に対して報酬が支払われるため、受注側のシステム開発会社は納期内に成果物を完成させる必要があります。
そのため、SESよりも納期に間にあうように計画を立ててもらうことができる傾向があるのです。
したがって、必ずこの期間中に成果物を完成させなければならないという場合には受託開発の方がおすすめです。
SESのメリット
コミュニケーションスキルが身につく
SESの場合、自社内に依頼先のエンジニアが常駐しているため、必然的に外部の会社の社員と話す機会が生まれます。
そのため、コミュニケーションスキルに自信がない人でも社外の方との接し方や話し方を学ぶことができるかもしれません。
新たなスキルを得る機会になる
依頼先のエンジニアが自社に常駐して開発を行うため、受託開発よりもエンジニアとの距離が近くなります。
そのため、SESの場合は普段とは違う刺激を受けることもでき、新たな開発スキルを得る機会にもなるというメリットがあるのです。
受託開発とSESのデメリットを比較
次に受託開発とSES双方の具体的なデメリットを紹介します。
開発を検討している際は自社の状況や希望に合わせて開発の方法を選択しましょう。
受託開発のデメリット
セキュリティリスクが生じる
受託開発は受注者側の社内でエンジニアが開発を行うため、SESよりもセキュリティリスクが生じる可能性が高くなります。
もし、受注先の開発が多重下請け構造になっている場合、受注先の会社以外にも社内情報が流出してしまう可能性が高まります。
受託開発をする場合は受注先がどのようにシステム開発をするのか事前にしっかりと確認しましょう。
進行状況の確認がしにくい
受託開発はエンジニアが所属会社内で開発業務を行うため、逐一発注者側が開発の状況を確認することが困難です。
もちろん電話やメールでやりとりを行うことは可能ですが、発注者側の社内でエンジニアが作業するSESよりは状況確認がしにくいということを理解しておく必要があります。
SESのデメリット
納品する前に契約期間か終わる可能性がある
SESの場合、受注者側のエンジニアには成果物を完成させて納品する義務はありません。
そのため、もしかしたら成果物が完成する前に契約期間が終了してしまうという可能性があるのです。
そのようなことにならないように、事前に契約期間は成果物の完成に十分か確認するようにしましょう。
直接業務に対して指示を出すことができない
SESで契約をしている受注先の会社のエンジニアは自社の指示に従って開発業務を行うため、発注者側が直接エンジニアに対して指導をしたり指示を出したりすることができません。
そのため、SESの契約を結ぶ際には事前に両者で業務内容や方法等の認識をすり合わせるようにしましょう。
受託開発の注意点
受託開発を依頼するときに事前に確認すべき注意点があります。
まず、開発の目的を明らかにした上で契約を交わすようにしましょう。
自社の課題と、システムによって課題をどのように解決したいかを明確にシステム開発会社側に伝えることにより、システムの完成のイメージの認識がずれにくくなります。
また、開発のスケジュールを綿密に立ててもらうことも重要です。
成果物の納品が遅れてしまうと、自社内の業務にも支障が出ます。
そのため、綿密にスケジュールを立ててもらい、業務の進捗を管理するようにしましょう。
パッケージ開発を活用する利点は?
パッケージ開発とは
パッケージ開発とは完全オリジナルのシステムを開発するスクラッチ開発とは異なり、汎用的に利用できる既存のフレームワークやソフトウェアを自社の用途や要件に合わせてカスタマイズする手法です。
システムやアプリケーションの独自性をそこまで重視しない場合はパッケージ開発をおすすめします。
パッケージ開発の利点
既存のソフトウェアをもとに開発を行うため、開発費用や人件費、環境構築のためのコストを抑えることができます。
そのため、スクラッチ開発よりも開発のコストを抑えられる場合が多いです。
また、既にソースコードの書かれたパッケージを使用するため、ゼロから開発を始めるよりも開発期間を短縮することができます。
このように、パッケージ開発はスクラッチ開発よりも費用や効率の面でメリットがあります。
まとめ
本記事では、受託開発の流れや混同されがちなSESとの違いについて解説しました。
受託開発にはメリットがありますが、セキュリティリスクが生じるという点や進捗の確認がしにくい点にデメリットもあります。
そこで、そのようなデメリットのないパッケージを活用することをおすすめします。
特にマッチングシステムの開発を考えている人におすすめしたいのが、マッチングクラウドというマッチングシステムのパッケージです。
マッチングサイトの開発をお考えの方はぜひ活用してみてください。