こんにちは、マッチングサイト専門の製作会社、株式会社ロボラボでエンジニアをしている川端です。
弊社はマッチングサイト開発を専門に扱っているため「マッチングサイトを作りたい!」という方がよくご相談にいらっしゃいます。
ご相談者の「こういうマッチングサイトがあると凄く便利だと思うんです!」という熱い思いにあてられ、弊社も最高のマッチングサイトを作ろう!という気持ちに火がついてしまいます。
ただ、そこには一点大きな問題が。
それはマッチングサイト開発には多大なお金がかかるということです。
価格は一概には言えませんが、弊社では初期開発で200万〜300万円ぐらいの規模の案件が多いです。
200~300万円という価格はシステム開発では小規模な部類に入りますが、スタートアップや、個人事業主にとっては大きな支出ですよね。
見積りをお出ししたときの「そんなにするんですね…」という相談者の様子を見るとこちらも胸が痛くなってしまいます。
お金を理由にやりたいことが実現できないのはとても残念なことです。
また社会にとっても良いマッチングサイトが生まれるきっかけを逃すことになり、大きな損失です。
そこで今回、無料で使えるオープンソースである「Osclass」を使い、簡単に低価格でマッチングサイトを構築する方法をお伝えします。
ドメインの取り方や設定、サーバ構築からサイト公開までマッチングサイト構築に必要なものを詳細にお伝えするので、
プログラミング経験のない、
- 営業
- 人事
- 主婦
- 大学生
など、知識のない方でも着実にサイトを構築することができることでしょう。
この記事では一般的なシステム開発会社が20万、30万お金を頂いて、行っている手法を詳細に記載しています。
他社にとって、もはや営業妨害レベルの記事ですが、世の中に素敵なマッチングサイトが生まれることが僕の何よりの望みです。
この記事があなたのマッチングサイト構築の第一歩になれば幸いです。
目次
1. 今回構築したサイトがこちら
今回の最終的に出来上がったサイトはこちらになります。
※サンプルサイトの為、サービスは提供しておりません。
よくあるフリーランスのアウトソーシングサイトっぽい感じですね。
今回はOsclassのサンプルサイトをお見せするために作成したので、標準の機能をそこまで大きくイジっていません。
構築にかかった費用や時間は次の通りです。
構築費用
- 「Osclass」のテーマ代:0円
- サーバ代:630円
- ドメイン代:1円
- SSL証明証:1,080円
合計1,711円
構築時間
- サーバ構築:0.5時間
- Osclassインストール:0.5時間
- ドメイン設定:0.5時間
- SSL設定:0.5時間
- デザインの修正:2時間
合計約4時間
約4時間、1,700円程度で費用でこのようなサイトを作ることができます。
元よりエンジニアとしてサーバ構築などの知識があったので、これぐらいの時間になりましたが、知識の無い方でも1,2日あれば十分にOsclassでサイトを構築することが可能でしょう。
3章では具体的な構築の過程をご説明します。
2. Osclassのメリット
まず、Osclassを知らない方のために「Osclassとは何か?」「どんなメリットがあるのか」をご紹介します。
「Osclass」とはマッチングサイトを簡単に構築できる、オープンソースのプロジェクトです。
Osclassには次のメリットがあります。
- 無料で使えるオープンソース
- CtoCマッチングサイトが簡単に作れる
- マッチングサイトに必要な機能が揃っている
- テーマが豊富にある
2-1. 無料で使えるオープンソース
オープンソースとは、一般公開されているソースコードのことを指します。
オープンソースで有名なものでは、ブログやホームページでよく使われる「Wordpress」があります。
OsclassはWordpressと同じ様に、無料で使うことができ、商用の利用もOKです。
2-2. CtoCマッチングサイトが簡単に作れる
OsclassはCtoC(個人間取引)のマッチングサイトを簡単に作ることができます。
CtoCのマッチングサイトで有名なサービスには、「メルカリ」や「ヤフオク!」などがあります。
これらに似たサイトをOsclassでは簡単に作ることができるのが大きな特徴です。
2-3. マッチングサイトに必要な機能が揃っている
マッチングサイトを作る際に最低限必要な機能には次のものがあります。
- 会員登録機能
- ログイン機能
- 投稿機能
- 検索機能
- コメント機能
- ユーザー管理機能
- 投稿管理管理機能
- etc
これらすべての機能をゼロから作るとなると、かなりコストがかかってしまいますが、Osclassではこれらの機能が標準で入っています。
Osclassを使うことで高速に低価格でマッチングサイトを構築することができます。
2-4. テーマが豊富にある
「マッチングサイト作りたい!でもデザインが微妙なのはちょっと…」
そう思うことはないでしょうか?
昔と違い、今は見た目がきれいなWebサイトが多く、デザインが微妙なサイトはすぐにユーザーが離れてしまいます。
ですが、Osclassにはデザインのテーマが無料のものから有料のものまで豊富に公開されています。
これらのテーマを使うことで見た目にもきれいなサイトを作ることができるのです。
Osclassのテーマはこちらのサイトから見ることができます。
3. Osclassの導入手順
ここでは実際にOsclassでサイトを構築した手順を細かくご説明します。
1つ1つ順を追って見てみましょう。
3-1. サーバを立ち上げる
まずはOsclassをインストールするためのサーバを立ち上げます。
「いきなりサーバなんてハードルが高い…」
と思った方もいるかもしれませんが、高度な知識は必要ありません。
以降でご説明する手順を忠実に実行すれば、知識の無い方でもサーバを立ち上げることができるでしょう。
Conohaに登録し、サーバを立ち上げる
まずはConohaというVPS(簡単に言うとサーバを提供してくれるサービス)を利用します。
VPSは他にも「さくらVPS」や「GMOクラウド」といったサービスがありますが、
Conohaは
- 初期費用がゼロ
- 1時間単位の従量課金なので無駄な費用がかからない
- SSD対応で高いパフォーマンス
といった特徴があり、おすすめです。
実際、弊社でも毎月のサーバ代を抑えたいクライアント様にはConohaを提案するケースがよくあります。
では実際にサーバを立ち上げていきましょう。
まずは右上のログインボタンを押下し、新規会員登録のリンクから会員登録を進めます。
会員登録後、このような画面が表示されます。
ここでは次のように選択し、確定を押下してください。
- サービス:512MB 630円/月
- イメージタイプ:CentOS 7.6(64bit)
- rootパスワード:※特定されにくいパスワードを入力してください。・・・①
- ネームタグ:任意の値
サーバ構築後、このような画面が表示されましたか?
次に選択したサーバを選択します。
IPアドレスという項目をメモしておきます。・・・②
また、接続許可ポートを「SSH(22)」と「Web(20/21/80/443)」にチェックしておきます。
これでサーバの立ち上げは完了です。簡単ですね。
3-2. Osclassのセットアップ
次はサーバにログインし、Osclassのセットアップを行います。
この作業は経験のない人にとっては少しむずかしい作業もあります。
手順は細かく説明していきますので、1つ1つ実施していきましょう。
サーバにログインする
前項で立ち上げたサーバにログインします。
Macの方はターミナルアプリを開いて下さい。※Windowsの方は後ほどご説明します。
ターミナルを開いたら次のコマンドを入力してください。
1 2 | ssh root@②で取得したIPアドレス ex) ssh root@111.222.333.444 |
パスワードを聞かれるので、①を入力します。
次のような画面になれば成功です。
Windowsの方は次の動画を参考にサーバにログインします。
動画の6:30~辺りで入力されている値は次の値に置き換えてください。
- Server Address:②で取得したIPアドレス
- User Name:root
- Password/phrase:①で設定したパスワード
PHPをインストールする(バージョンは7.2)
サーバログイン後、次のコマンドを上から順番に入力してください。
1 2 3 4 5 6 | yum update yum install -y epel-release rpm -Uvh http://rpms.famillecollet.com/enterprise/remi-release-7.rpm yum install -y --enablerepo=remi,remi-php72 php php-devel php-mbstring php-pdo php-gd php-xml php-mcrypt php-mysql vi /etc/php.ini |
一番最後のコマンドは/etc/php.iniを編集する、というコマンドです。
こちらのコマンドを実行すると/etc/php.iniファイルの編集画面が表示されるので、upload_max_filesizeという項目を見つけて次のように変更し、保存します。(※入力したいときはi、保存は[esc]:wqを入力します)
※viの操作に慣れない人は次の手順で入力が行えます。
- 入力したいとき:iを押す。後はカーソルキーで移動する
- 保存したいとき:[esc]:wq
- 強制終了したいとき:[esc]:q!
Apacheをインストールする
前項完了後、次のコマンドを上から入力してください。
1 2 3 | yum -y install httpd mod_ssl systemctl start httpd.service systemctl enable httpd.service |
httpからアクセス可能にする
前項完了後、次のコマンドを上から入力してください。
1 2 | firewall-cmd --permanent --add-service=http --zone=public systemctl restart firewalld.service |
ここまでで一度、サーバにブラウザからアクセスできるか試してみましょう。
ブラウザを立ち上げて、②で取得したIPアドレスを入力します。
次のような画面が表示されたら成功です。
MySQLをインストールする
前項完了後、次のコマンドを上から入力してください。
1 2 3 4 5 6 7 | yum -y remove mariadb-libs yum -y remove mysql* yum -y install http://dev.mysql.com/get/mysql57-community-release-el7-9.noarch.rpm yum -y install mysql-community-server systemctl start mysqld.service systemctl enable mysqld.service cat /var/log/mysqld.log | grep 'password is generated' |
このような画面が表示されるので、
ここで表示されるパスワードをメモしておきます。・・・③
次のコマンドを入力します。
1 | mysql_secure_installation |
入力を求められるので次の通りに入力していきます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 | Enter password for user root:③で表示されたパスワード New password:新しく設定するパスワード・・・④ Re-enter new password:④で入力したパスワード Change the password for root ? ((Press y|Y for Yes, any other key for No) : Y New password:④で入力したパスワード Re-enter new password:④で入力したパスワード Remove anonymous users? (Press y|Y for Yes, any other key for No) : Y Disallow root login remotely? (Press y|Y for Yes, any other key for No) : Y Remove test database and access to it? (Press y|Y for Yes, any other key for No) : Y Reload privilege tables now? (Press y|Y for Yes, any other key for No) : Y |
完了後、次のコマンドを入力します。
1 2 3 4 5 | mysql -u root -p ※パスワードを求められるので、④を入力 create database osclass; exit |
Osclassをインストールする
前項完了後、次のコマンドを上から入力してください。
1 2 3 4 5 6 | yum -y install git cd /var/www/html git clone https://github.com/osclass/Osclass chown -R apache:apache /var/www/html vi /etc/httpd/conf/httpd.conf |
DocumentRootを次の画面ように変更し、保存します。
次のコマンドを入力します。
1 | systemctl restart httpd.service |
これでOsclassのインストールは完了です。
Osclassの初期設定を行う
前項でOsclassのインストールが完了したので、ブラウザから確認してみましょう。
ブラウザを立ち上げて、②で取得したIPアドレスを入力します。
次のような画面が出てくれば成功です。
次にinstallを選択します。
入力項目に次の値を入力してNextを選択します。
- Host:localhost
- Database name:osclass
- User Name:root
- Password:④で設定したパスワード
- Table prefix:oc_
入力項目に次の値を入力してNextを選択します。
- Username:管理者のユーザー名を登録します。好きなもので結構です。・・・⑤
- Password:管理者のパスワードを登録します。特定されにくいものを入力してください。・・・⑥
- Web title:サイト名になるものです。後から変更可能なので気軽に好きなものを入力して下さい。
- Contact e-mail:お問い合わせ時の送信先メールアドレスになります。お持ちのメールアドレスを入力して下さい。
- Location:Japan/東京都/All cities
このような画面が表示されればセットアップ完了です。
「Finish and go to the administration panel」を押下すると、次の画面へ遷移します。
ユーザー名とパスワードは⑤⑥で入力したものを入力して下さい。
ダッシュボード画面を開いたら、次に日本語に対応させましょう。
サイドバーから「Market」>「Language」を開いてください。
2ページ目辺りに「ja_JA」というものがあるので、こちらの「Download」を選択します。
Downloadが完了したら、サイドバーの「Show more」>「Settings」>「Language」を開きます。
次のような画面が開くので、Japaneseの「Enable(website)」を選択します。
その後、一旦ログアウトしてから再度ログインすると日本語に対応されていることを確認できるでしょう。
3-3. テーマの導入
現在の状態で②で取得したIPアドレスをブラウザで開くと次のような画面が表示されます。
もう既にログインや会員登録ができるようになっていますが、ちょっとこのままのデザインだと味気ないので、テーマを導入していきます。
テーマをダウンロードする
今回はOsclassWizardsというOsclassのテーマを使います。
OsclassWizardsは無料のテーマにも関わらず、有料以上にクオリティの高いデザインになっており、Osclassでは最も利用者の多いテーマの1つです。
OscalssWizardsのテーマを取得するには次のURLを開いてファイルをダウンロードします。・・・⑦
テーマをインストールする
ダッシュボード画面のサイドバーから「外観」>「テーマの管理」を選択します。
ファイルを選択で⑦で取得したzipファイルを選択し、アップロードを選択します。
※もしここでエラーになった場合は、php.iniのupload_max_filesizeの上限を超えている可能性があります。
3-2でご説明した手順に沿って、php.iniファイルを編集して下さい。
アップロード完了後、「OsclassWizards」というテーマがインストールされているので、こちらの「有効にする」を選択します。
選択後再度トップ画面を見てみるとテーマが反映されていることが確認できます。
デフォルトよりはいい感じになりましたね。
以上でOsclassの導入は完了です。
CSSの知識がある人はテーマを編集したり、PHPファイルを編集することでサンプルのようなサイトのようなレイアウトにすることが可能です。
ぜひ、オリジナリティのあるサイトを作りたい方は挑戦してみてください。
3-4. ドメインの設定
サイトの設定が完了しましたが、今度は独自ドメインからサイトにアクセスできるようにします。
今回はお名前.comでドメインを購入し、購入したドメインからアクセスできるようにしたいと思います。
ドメインを購入する
まずはお名前.comで好きなドメインを検索します。(今回はosclass-sampleにしました)・・・⑧
osclass-sample.workが安かったので、こちらで購入します。
ドメインを設定する
前項でドメインを購入後、下記の画面にアクセスします。
⑧で購入したドメインを選択し、「次へ進む」を選択します。
画面したの方の「DNSレコード設定を利用する」を選択します。
VALUEの欄に②で取得した「IPアドレス」を入力し、「追加」を選択します。
確定をボタンを押下すると、ドメインの紐づけが完了します。
反映には少し時間がかかるため、先にSSLの対応を行うとよいでしょう。
3-5. SSLを設定する
SSLを設定することで、通信を暗号化することができ、セキュリティリスクを抑えることができます。
マッチングサイトのようなメールアドレスやその他個人情報を入力するサイトではSSLの対応は必須です。
ここではSSLの設定の仕方をご紹介します。
秘密鍵を作成する
SSL証明書を取得する前に秘密鍵というものが必要になるため、こちらを作成します。
次のサイトにアクセスして下さい。
CSR・秘密鍵生成 | ApacheOK。IIS不可。 | すぐに使える便利なWEBツール | Tech-Unlimited
次の項目を入力します。
- コモンネーム:⑧で購入したドメイン名
- 組織名~国:任意の値
入力後、「CSR・秘密鍵の生成」を押下します。
- CSR・・・⑨
- 秘密鍵・・・⑩
の2つをコピーしておきましょう。
SSL証明書を購入する
SSL証明書をSSLストアというサイトを使って購入していきます。
次のサイトから会員登録を行い、ログインを実施して下さい。
SSLストアで証明書を購入する
ヘッダーの「証明書」>「証明書購入」を選択し、画面を開きます。
次にFujiSSL 1年の「新規」を選択します。
デポジットをチャージを選択し、料金分をチャージします。
支払いにはクレジットカードが必要です。
チャージ完了後、カート画面からレジに進みます。
購入後、購入した証明書を選択します。
次の項目を入力し、次に進むを選択します。
- コモンネーム:⑧で購入したドメイン名
- 認証方式:ファイル認証
- サーバの種類:ApacheOpenSSL
CSR情報に⑨の値を入力し、その他の情報を入力し、確定ボタンを押下します。
SSLのファイル認証を行う
前項のSSL証明書購入完了後、FujiSSLからメールが飛んでくるので中身を確認します。
次のようなメールが飛んでいれば問題ありません。
では http://oscall-sample.work/.well-known/pki-validation/fileauth.txt にアクセス可能にできるように設定を行います。
まずはメールに添付されている「fileauth.txt」を開き、中身を全てコピーします。・・・⑪
次に3-2の手順でサーバにログインし、次のコマンドを入力します。
1 2 3 | mkdir -p /var/www/html/Osclass/.well-known/pki-validation vi /var/www/html/Osclass/.well-known/pki-validation/fileauth.txt |
ここで⑪の内容を貼り付けて保存します。
これでファイル認証は完了です。
10分程度の感覚でファイルチェックが行われるため、ファイルチェックが完了した旨のメールが来るのを待ちましょう。
SSLのセットアップを行う
前項から数分後、認証完了のメールが飛んでくるかと思います。
メール本文に
- SSLサーバ証明書・・・⑫
- 中間CA証明書・・・⑬
というものが記載されているため、こちらをそれぞれコピーしておきます。
次に3-2の手順でサーバにログインし、次のコマンドを入力します。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 | vi /etc/httpd/conf/ssl.key →⑩の内容を貼り付け、保存します。 vi /etc/httpd/conf/ssl.crt →⑫の内容を貼り付け、保存します。 vi /etc/httpd/conf/ssl.chain →⑬の内容を貼り付け、保存します。 vi /etc/httpd/conf.d/ssl.conf |
次の内容を編集し、保存します。
1 2 3 | SSLCertificateKeyFile /etc/httpd/conf/ssl.key SSLCertificateFile /etc/httpd/conf/ssl.crt SSLCertificateChainFile /etc/httpd/conf/ssl.chain |
※このような状態になっていれば大丈夫です。
次に以下のコマンドを入力します。
1 | vi /var/www/html/Osclass/config.php |
上のように⑧で取得したドメインを入力します。
※最後がスラッシュが必要になるので注意してください。
最後に次のコマンドを入力します。
1 2 3 | firewall-cmd --permanent --add-service=https --zone=public firewall-cmd --remove-service=http --zone=public systemctl restart httpd.service |
以上でSSLとドメインの設定は完了です。
試しに、https://⑧で取得したドメイン にブラウザからアクセスすると作成したサイトを確認することができるでしょう。
3-6. セキュリティ対策
現在のサーバの設定だと誰でもroot権限でサーバにアクセスできてしまい、非常に危険な状態ですので対策が必要です。
セキュリティは本気でやるとたくさんやることがありますが、ここでは最低限の時間で効果的にセキュリティ対策を行う方法をご紹介します。
root権限でのアクセスを禁止する
3-2の手順でサーバにログインし、次のコマンドを実行します。
1 2 3 4 5 6 7 | useradd osclass-user ※osclass-userの部分は任意の名前で良い・・・⑭ passwd osclass-user パスワードの入力を求められるのでパスワードを入力する・・・⑮ vi /etc/ssh/sshd_config |
次のようにPermitRootLoginをnoにします。
次のコマンドを入力します。
1 | systemctl restart sshd |
これでroot権限でのサーバへのログインができなくなりました。
次回以降は ssh ⑭で設定したユーザー名@⑧で取得したIP の形式でログインを行って下さい。
ex) ssh osclass-user@111.222.333.444
SSH権限でのアクセスを禁止する
WordPressやOsclassの構築後、多くの人は頻繁にサーバへログインすることはありません。
そのため、無理にサーバへログイン可能な状態にしておく必要もありません。
いっその事サーバへのログインを不可にし、必要なときにだけログイン可能な状態にする方がセキュリティ対策として効果的です。
やり方としては、まずConohaのダッシュボードを開き、対象のサーバを開きます。
接続許可ポートを「Web(20/21/80/443)」だけに設定し、「SSH(22)」のチェックを外します。
これでサーバへのログイン自体ができなくなりました。
もしログインする必要がある場合は、再度「SSH(22)」にチェックを付ければログインが可能になります。
以上でOsclassによるサイト構築は完了です。お疲れ様でした。
4. Osclassのデメリット
Osclassは簡単にマッチングサイトを構築できる優れたソフトウェアです。
一方で次のデメリットも存在します。
- 決済など独自機能を追加する際に苦労する
- 情報の大半が英語
- メンテンス頻度が少ない
4-1. 決済など独自機能を追加する際に苦労する
マッチングサイトを運営していると、決済機能をつけたい、と思う場面が出てくると思います。
ですがOsclassには標準では決済機能が組み込まれていません。
プラグインで決済機能を導入することは可能ですが、PayPal以外のサービスには対応しておらず、日本のサービスで決済機能を導入するには少しハードルが高いです。
他にも
「収益化してきたからレコメンド機能をつけたい」
「ユーザー同士のコミュニケーションを活発にするためにチャット機能をつけたい」
そんな要望が出てきた際に、Osclassに機能追加するのは苦労します。
Osclassの開発実績のある会社・エンジニアはそれほど多くはありません。
Osclassに無理やり機能追加するのであれば、ゼロからシステムを作り直した方が長期的に見ればコストが下がる場合もあります。
もし、決済機能や拡張性を期待するのでは注意が必要です。
4-2. 情報の大抵が英語
Osclassの情報はほとんど英語で書かれています。
一般的な操作方法や設定方法レベルは日本語の情報も多いため問題ありません。
ですが、ちょっと凝ったことをしたくなった場合、英語のドキュメントを読む必要があります。
テーマによっては日本語に対応していないため、そのような場合は自分でソースコードを編集する必要があります。
エンジニア以外の人には関係ありませんが、不具合の際にソースコードを読む場合もあります。
僕が実際に経験したケースですが、
Osclassの独自テーマ(名前をosclass-themeとします)を開発した際に何故か上手くテーマがアップロードされませんでした。
ネットで情報を探しても解決策は見つかりません。
仕方なくOsclassのソースコードを読んでみると次のようなロジックになっていました。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 | /** * This function returns an array of themes (those copied in the oc-content/themes folder) * @return <type> */ public function getListThemes() { $themes = array(); $dir = opendir( $this->path ); while ($file = readdir($dir)) { if (preg_match('/^[a-zA-Z0-9_]+$/', $file)) { $themes[] = $file; } } closedir($dir); return $themes; } |
お気づきでしょうか。
テーマ名にハイフン(-)が使えないのです。
テーマ名をosclass_themeに変更したところ無事にアップロードができました。
Osclassはこのような問題をいくつかはらんでいます。
エンジニアの方がOsclassを採用するのであれば、
- ドキュメントの大半が英語
- 情報がない場合はソースコードを読む必要がある
といった点に注意しておく必要があるでしょう。
4-3. メンテンス頻度が少ない
Osclassは簡単高速にマッチングサイトを構築するには非常に優れたプログラムです。
ですが年々メンテンス頻度が少なくなっており、採用されるケースが少なっているのも事実です。
Osclassは古くからあるシステムなため、古いプラグインやテーマだと最新のバージョンでは動作しないものもあります。
そのためOsclassを採用するのは、
- 機能追加の予定はそこまでない
- 機能追加orサービスのリプレイスは収益化してからでいい
- サービスにニーズがあるか、早く安く調査したい
といったケースを目安に採用するとよいでしょう。
頻繁に機能を追加したい場合などは後々拡張が難しくなるため、注意が必要です。
5. WordPressよりもOsclassを選ぶ場面
オープンソースのCMSで有名なサービスとして、Wordpressがあります。
世界中のサイトの約3分の1がWordpressで作成されていると言われており、Wordpressは高い実績があります。
WordPressでもマッチングサイトを作成することは可能ですが、ログイン機能を拡張したい場合など、独自機能を拡張するときは不便です。
実現したい機能によってはOsclassを使うか、Wordpressを使うか、を判断すると良いでしょう。
Osclassを使う場面
「ログイン機能があり、ユーザーが好きにコンテンツを投稿できるサイト」の場合は、Osclassがおすすめです。
WordPressを使う場面
「コンテンツの大部分が記事で、ブログに近いサイト」の場合は、Wordpressがおすすめです。
6. Osclassを運営するときに気をつけること
Osclassを使ったマッチングサイトを運営する際にはいくつかの注意点があります。
ユーザーが安心して利用できるように次の3つのポイントに注意して下さい。
6-1. 不正な投稿は監視しましょう
マッチングサイトを運営していると、規約に沿わない投稿がされることがあります。
例えば、
- 仲介手数料を課すサイトで直接取引を持ちかける投稿
- 値引きを強要する投稿
- 出会い目的の投稿
などです。
このような投稿があるサイトだとちょっと利用するのが不安になってしまいますよね?
ユーザーが安心して利用できるよう、このような不正な投稿は運営側で監視、対応していく必要があります。
6-2. 利用規約、プライバシーボリシーは設けましょう
マッチングサイトでは利用規約とプライバシーポリシーは必須になります。
マッチング時のトラブルや違法行為などは明確に利用規約に記載していないと、大きなトラブルの原因になりかねません。
自分の身を守るために、また、安心してユーザーにサイトを利用してもらえるように、必ず利用規約、プライバシーポリシーは設置しましょう。
6-3. 出会い系サイトの場合は許可を取りましょう
Osclassを使えば出会い系のマッチングサイトも簡単に作ることができます。
出会い系といえば数年前は「危ない」「怖い」そんなイメージがありましたが、近年はかなりクリーンな出会いサイトが続々と登場し、そのイメージを払拭しつつあります。
とはいえ、未成年者の利用や出会いを推進するサイトは法的規制が存在しており、運営事務所がある各都道府県の警察署にインターネット異性紹介事業の届け出を提出しなければいけません。
これを提示せずに事業を行い逮捕されたという事例も多々あるため、注意が必要です。
東京都の場合は、こちらのサイトから各種必要な書類をダウンロードすることが可能です。
(参考)インターネット異性紹介事業を始めるとき必要な書類等 – 警察庁
7. まとめ
いかがでしたか?
最後にこれまでの内容をおさらいします。
Osclassのメリット
- 無料で使えるオープンソース
- CtoCマッチングサイトが簡単に作れる
- マッチングサイトに必要な機能が揃っている
- テーマが豊富にある
Osclassのデメリット
- 決済など独自機能を追加する際に苦労する
- 情報の大抵が英語
- メンテンス頻度が少ない
WordPressよりもOsclassを選ぶ場面
- 「ログイン機能があり、ユーザーが好きにコンテンツを投稿できるサイト」の場合は、Osclassがおすすめ。
Osclassを運営するときに気をつけること
- 不正な投稿は監視しましょう
- 利用規約、プライバシーボリシーは設けましょう
- 出会い系サイトの場合は許可を取りましょう
「Osclass」を使えばマッチングサイトを安く簡単に構築することができます。
今回は「アウトソーシングサイト」を開発しましたが、
他にも
- 不用品マッチング
- スキルシェアマッチング
- 地域スポーツクラブマッチング
など色んな可能性を秘めています。
ぜひこの記事がマッチングサイトが生まれるきっかけになれば幸いです。
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